一定の期間、一軍に登録される日数をクリアしたプロ野球選手に与えられる権利が、FA(フリーエージェント)権ですね。
プロ野球のシーズンオフに超大物選手がFA権を行使するか、所属球団に残留するかが、注目を集めますね!
過去には落合博満選手、清原和博選手、新井貴浩選手らの大物がFA権を行使(FA宣言)して、他球団に移籍しました。
ですが、FA権を行使せずに残留する選手もいたり、海外FA権を行使したものの残留を決めた選手も多いですよね。
そこで気になるのが、FA権を行使(FA宣言)して残留するのと、FA権を行使せずに残留することの違いは何なのか?ですね。
ここでは、残留するに至ってのこの2つの違いは何なのか、メリット、デメリットを紹介しますね~。
もくじ
FA権とは?取得するための条件は?
日本プロ野球でのFA権は、「海外FA権」と「国内FA権」があります。
「FA権」が定められて以降、多少の変化をたどっていすが、FA権を取得するために必要な一軍登録日数が定められています。
※「1年=145日」で計算
年 | FA権取得条件 | |
1993年 ~ 2002年 |
〇ドラフト逆指名制度(現在は停止)選手 → 累計10年(通算1450日)で取得 〇その他の選手 → 累計9年(通算1305日)で取得 |
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2003年 ~ 2007年 |
全選手が累計9年で取得 | |
2008年 ~ | 【国内FA権】 〇2006年以前の入団選手 → 累計8年(通算1160日) 〇2007年以降入団の高校生 → 累計8年(通算1160日) 〇2007年以降 入団の大学生・社会人 → 累計7年(通算1015日) |
【海外FA権】 全選手が累計9年 |
これだけの日数を一軍に登録されるということは、一流選手のみであることが分かりますよね。
なので、FA権を取得した選手が、それを行使するかどうかに注目が集まるわけですね!
FA権は再取得できる
FA権を取得できるのは一度だけではありません。
阪神タイガースの鳥谷敬選手を例に見てみましょう。
2003年オフに阪神に入団した鳥谷敬選手は、入団以来、ほぼ一軍に登録されています。
2011年9月に国内FA権を取得したものの、行使せずに残留。
2012年8月に海外FA権を取得したものの、行使せずに残留。
2013年も保有している海外FA権を行使せずに残留。
2014年は保有している海外FA権を行使(FA宣言)して、メジャー移籍を目指したものの、条件で折り合わずに、残留しました。
その後、阪神と前年より1億円増の年俸4億円の5年契約を結びました。
そして、2018年8月21日、2度目のFA権を取得しました。
まとめますと、以下です。
〇さらに、FA宣言した場合は、移籍しても残留しても、4年後にFA権を再取得します。
FA宣言(FA権を行使)して残留とは?
先ほど紹介した鳥谷敬選手のように、FA宣言をして残留することもあります。
2018年11月上旬現在、FA宣言をした丸佳浩選手、浅村栄斗選手、西勇輝投手、炭谷銀仁朗捕手が全員一同、出したコメントが以下ですよね。
「他球団の評価を聞きたい」
例えば、丸佳浩選手の場合、巨人が「6年契約・年俸総額25億円」という破格の条件を提示していますよね。
広島カープは出来高も含めて「4年契約・年俸総額17億円」という決して悪くない条件を出していますが、巨人の提示額を広島カープ球団に見せることで、プレッシャーをかけているわけですよね。
誤解を恐れずに言うと、所属球団にさらなる年俸アップ、いわゆる吊り上げを要求すると捉(とら)えられるワケですね。
これを快く思わない広島カープは、過去には「FA宣言をしてからの残留は認めない」という方針でしたが、丸佳浩選手には「FA宣言をしてからの残留を認める」とのことです。
FA宣言(FA権を行使)残留のメリットとデメリット
気になるのはココですね!
FA宣言をせずに残留するのが一番穏やかなのですが、残留するにしても、なぜ、FA権を行使して残留するのでしょうか?
メリットは?
FA権を行使するということは、その時点で所属球団を離れることになりますから、残留した場合、球団は契約金を支払う必要があるんです。
ココって報道では出ない部分ですね。
(もちろん移籍した場合も移籍球団は選手に契約金を支払います)
そして、先ほども紹介したように、年俸アップにつながり、さらに複数年契約を結ぶことができる可能性が非常に高いです。
悪く言うつもりはないですが、FA宣言してから残留を決めたことで、阪神の鳥谷敬選手が1億円アップの年俸4億円の5年契約を勝ち取りましたからね。
デメリットは?
メリットで紹介しましたが、FA権を行使するということは、その時点で所属球団を離れることになります。
仮に、FA宣言をしても、他球団が手を挙げなかった場合、元々の所属球団に戻れるか、と言ったら、そんな甘い話ではありません!
元々の所属球団が再契約を拒否した場合、FA宣言をしてしまったばかりに、所属球団の無い「自由契約」の状態になってしまいます。
そうなった場合、元々の所属球団を含め、手を差し伸べる球団が、非常に低い年俸や条件で契約を結ぼうとする可能性もあります。
現役を続けたければ、これを受け入れざるを得ませんよね。
FA権を行使(FA宣言)するということは、こういうデメリットもあります。
FA宣言せずに残留が一番穏やか
2018年11月7日、日本ハムの宮西尚生投手が、海外FA権を行使(FA宣言)せずに残留することを発表しましたね。
宮西尚生投手がFA権を行使するかもしれないですから、流出を防ぎたい日本ハムは、当然のことながら良い条件を出しました。
前年から1億円アップの「2年契約・年俸総額5億円」を提示しました。
選手がFA権を行使することが、所属球団に対して誠意が無いとは思いませんが、他球団の評価を聞かずに、所属球団の提示だけで判断して残留するということは、お互いにとって一番気持ちがいい流れであることは、十分に分かりますね!
ただ、2018年オフの西武の中村剛也選手のように、FA権を行使して、他球団の評価を聞かずに、即残留を表明するのも非常に良い方法ですね。
この場合、次にFA権を再取得するのは4年後ですから、所属チームから離れない意志表明になりますからね!
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まとめ
FA権を行使しての残留、FA権を行使せずに残留の違いを紹介しました。
選手に与えられた権利ですから、FA宣言することは何も問題はありません!
ですが、球団と選手、それを見ているファン、全て「人」が絡むものですから、そこに「人情」が入ってくることも確かです。
FA宣言することの意味、メリット、デメリットを私たちも分かったうえで、その動向を見守る方が精神衛生上も良いかなと思って紹介しました。
シーズンオフ、ストーブリーグの目玉の話題である、FA権を行使(FA宣言)するかどうか。
私たちプロ野球ファンも、固唾を飲んでじっくりと見守りましょう!